ゴリラ!ゴリラ!ゴリラ!

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 当たり前のように出てきた「ゴリラ道」なる言葉に気を取られている間に、いつのまにかスタジオではゴリラ道の第一人者・吉川先生によるゴリラ講座が始まっている。 「ご存じの通り、ゴリラは19世紀頃まで未確認生物(UMA)扱いだったというほど希少な生物です。様々な学説がありますが、現在では マウンテンゴリラ ヒガシローランドゴリラ クロスリバーゴリラ ニシローランドゴリラ の4種が確認されています。学名で言うとそれぞれ ゴリラ=ベリンゲイ=ベリンゲイ ゴリラ=ベリンゲイ=グラウエリ ゴリラ=ゴリラ=ディエリ ゴリラ=ゴリラ=ゴリラ ですね。まぁここまでは常識として当然ご存じかと思いますが、実はこれら以外にも……」  淀みなく紡がれる吉川先生の講座。その中で「ゴリラゴリラゴリラ」という単語が聴こえた瞬間、寝起きでぼーっとしていた私の頭に衝撃が走った。  ゴリラゴリラゴリラ。一体なんだ、それは。なんで3回言う? というか他のやつもゴリラなんちゃらかんちゃらみたいに3つ単語を繰り返していたけど、どうして? 最後の1個だけじゃダメなの?  ダメだ何もわからない。そんなこと、学校では教えてくれなかった。 「陽子ー。そろそろ行かないと遅刻するわよー」  お母さんに急かされるように家を出る。高校生である私はこれから学校に行かなければならない。だけど私の心は今、別のことを求めている。そしてそれはきっと学校では学べないこと。だから。  後で叱られる覚悟を決めた私は、市内の動物園へと向かうため登校ルートを外れた。
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