ゴリラ!ゴリラ!ゴリラ!

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 それから一通り動物園を回った私と吉川先生は出口に向け歩く。その途中、一組のカップルとすれ違った。  カバのキーホルダーを嬉しそうに掲げる彼女に、彼氏の方が呆れたような顔で言う。 「杏奈、またキーホルダー買ったの? 前も変なキャラクターのやつ買ってなかった?」 「いいの! だってあれは動物じゃないもん!」 「は?」 「今日B型は『動物のキーホルダー』がラッキーアイテムなの!」 「あぁ……また例の占いか。好きだね、ほんと」  苦笑いしつつも優し気な口調で言う彼氏。そんな微笑ましい光景を見ておきながら、吉川先生は再び口を開いた。 「今すれ違った彼女もゴリラですよ。メスゴリラですね」 「ちょっ、先生!」  ぎょっとして後ろを振り返るとカップルもこちらを振り返って凄い形相をしていた。知ってかしらでか、吉川先生は嬉々として続ける。 「ご存じないですか? 世界のゴリラの約90%を占めるニシローランドゴリラですが、なんと血液型がB型の個体しか存在しないんです。よって彼女も9割方ゴリラです」 「ち、違いますよっ! あんなにす、素敵なお姉さんがゴリラなわけないじゃないですか! ね、冗談ですよね!?」 「いえ、紛うことなきゴリラです。ゴリラ=ゴリラ=ウラナイズキです」 「あ、あはは……すみません、ほんと」  カップルに頭を下げた私は、吉川先生の手を引っ張って逃げるようにその場を後にした。
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