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「どこどこどこどこどこどこどこどこっ!?」
「痛い痛いっ、押さないで!」
「金のなる木どこーっ!」
「砂金砂金砂金砂金砂金砂金砂金っ!」
押し合いへし合いしながら校庭を見たあたしは気づいた。花壇のあたりで、疲れ切ったようにしゃがみこんでいる白いふわふわとした人影を。
「カオちゃん!あそこっ!」
「おおおおお!行くべっ!」
あたしはカオちゃんと共に、真っ先に教室を飛び出す。それを見て他の生徒たちもほとんどが走り出していた。授業開始のチャイムが鳴っても、まったくお構いなしに。
「ひっ、きゃああああああああああああああああっ!?た、助けてっ!!」
あたし達が校庭に飛び出してきたことに気づいて、ゼパル星人は女のコみたいな悲鳴を上げた。それでもあたし達は止まることなどない。
お金を求めて、ひたすら小さな影を負い続けたのだった。
そう。
――お金お金お金お金!パソコン買うカネ、楽して生きる金ーっ!!
あたし達はただ、自分の欲望を満たしたかっただけ。人間として当たり前の欲求に従っただけ、そのつもりだったのに。
『宇宙連邦最高議会の議長であるベティ・ロックハートは言いました。“我々は友として、ともに宇宙で発展することを期待している。ただし、我々は宇宙全体の法律に則って動いている。それを地球人にも徹底的に周知してほしい。お互いのルールが正しく守られる限り、我々は良き友でいられることだろう”と。ベティ・ロックハートの名前と話の内容はテストにもよく出ますので、皆さん覚えているように』
約三百年前に、ベティに言われた話を。
政府から伝えられていた宇宙法の法律を、あたし達はみんな忘れていた。否、あたしみたいな人間は知ろうともしなかった、のが正しいか。
「とてもとても、残念です。残念で仕方ありません」
この半月後。
戦艦を引き連れてニューヨークに現れた宇宙連邦最高議会の議長、ベティ・ロックハートは地球人たちにこう告げたのだ。あたし達は、絶望の面持ちでそれを聞いていた。
「地球の皆さんを、宇宙法に基づき逮捕いたします。罪状はゼパル星人の皆さんへの……ストーカー規制法違反、および脅迫罪、暴行罪です」
次々と捕まっていく地球人たちがどうなるのかは――誰にもわからない。
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