「磨く」

10/16
前へ
/17ページ
次へ
「彼女と出会ったのは、好きなアニメのオフ会でした。僕はもともとこんな見た目と趣味なので、学校でも友達がいなかったんです。でも、このアニメの界隈の人とは仲良くすることが出来た。そこで出会ったのが今の僕の彼女です。……いや、今というのもおかしいですな。ここに写っているのが彼女です」  そう言って近藤はリュックの中から1枚の写真を取り出した。それは近藤と彼女さんのツーショットだった。写真の半分以上は近藤の大きい顔が占めている。でも、目を惹きつけられたのは、その横で幸せそうに笑う、あまりにも美しい女性だった。 「……嘘でしょ!?」 「そう思いますよね!? でも本当なんです。彼女はこの界隈には似合わないくらい、美しい女性でした。それなのに、こんな僕を好きになってくれたんです。もっと、かっこいい男はたくさんいたのに」  そう言って写真を見つめる近藤の顔は、あまりにも愛おしそうだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加