2人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんですか! せっかく褒めて差し上げたのに」
「ごめんごめん。嬉しくてさ。……そう、私ね。彼が死んでからも、おしゃれも、メイクも、可愛くなるのも、諦めてないんだ」
「もう、彼氏さんは見てくれないのに?」
「彼じゃない別の人が現れるかもしれないでしょ。その人の隣に立った時にも、自信を持っていたいんだよ。それに……」
「それに」
「あなたみたいに、彼ともまた、会えるかもしれない」
私がそう言うと、近藤は自らの色の薄い掌をじっと見た。自分の存在が何者なのか、再確認しているかのようだった。
「僕も、また会えるでしょうか」
「そりゃ会えるよ。いつか彼女さんが来てくれるかもしれないし、もし来ないとしても、人はいつか死ぬから、嫌でもあの世で会うことになる。だから、」
「いつ再会してもいいように、ずっと磨いておかないといけないんだよ。自分も、お墓も」
最初のコメントを投稿しよう!