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スタジオ
「あっ」
スタジオでエクササイズが始まった。コロナ禍でも相変わらず密。大半はわたしと同年代。今日のメニューはボクササイズ。
「これはきつかったなぁ...」後ずさりをしのぎつつ思い出す。
・・・
トレーナーが舞台でリズミカルな音楽と掛け声でテンポよくパンチを繰り出す。もちろん足元もボクサーのように軽快なフットワーク。
「イチ、ニ、ジャブ、ジャブ、ハイ‼ ストレート」
「イチ、ニ、ジャブ、ジャブ、ハイ‼ フック」
「イチ、ニ、ジャブ、ジャブ、ハイ‼ アッパー」
容赦ないトレーナーの声。時々足を大きく上げて負荷かける。みんな、遅れまいと必死。そういうわたしも徐々に息が上がってくる。余裕ないけど周りを見渡す。
「きっと、あの人たちよりマシ」
自信をもって右アッパーを鋭く打ち上げた。
その瞬間、視界の先に飛び込む強烈な違和感...
アッパーの拳よりはるかに高く上がった顎とへっぴり腰。
鏡の中にもうひとりのわたし。
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