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町子姉ちゃんが病気だと妹から教えられたのは、その年の秋だった。
「悪性リンパ腫っていうガンなんだけど。」
蒼子は妹に電話で告げられた。
「あくせいりんぱしゅ?」
蒼子にとっては、その日、初めて聞く言葉だった。
「脳に転移もあって。」
「転移? 脳に?」
なんだかよくなさそうな雲行きだった。
「お父さんの四十九日で新潟に行ったとき、町子姉ちゃん、病気明けだったじゃん。」
「そうだね。」
「そのときはわからなかったんだけど、実はそういうことだったみたいで……。」
妹が言葉を濁した。
「……助からないの……?」
「う……ん……。あと三年ぐらいだって……。」
妹は大きく息を吐いた。
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