第1章 始まりの出逢い

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 すると、広間の空気に一瞬で飲み込まれてしまいそうになった。  が、そこをぐっとこらえて周囲を見渡す。男性たちはきっちりとした高級そうなスーツを着こなしており、女性たちは各々パーティー用のドレスを身に着けている。  女性たちの身に着けるアクセサリーは、一級品なのだろう。遠目から見ても、その大ぶりの宝石は目を引く。 (……私、やっぱり場違いだよね?)  いくら社長令嬢とはいえ、こんなところに来れるほどの人間ではないと、愛美は自分では思っている。  榊グループは確かに多数の大企業をまとめるグループ会社だ。けれど、さすがにこういうところでは見劣りしてしまうだろう。 (いいえ、今日の私はただの一般人。榊グループの令嬢としてここに参加しているわけではないわ)  自分自身にそう言い聞かせていれば、愛美の後ろにいた由宇花が愛美を通り抜けて広間に入っていく。  ……どうやら、彼女は彼女で婚活に勤しむらしい。  愛美はここに出逢いを求めに来たわけではない。だから、端の方で大人しくしておこう。そう、思った。 「……ふぅ」  広間の端にはテーブルと椅子が設置してあるスペースがあった。なので、そこに一人で腰掛ける。  さすがはお見合いパーティーというべきか、テーブルと椅子は二人用のよう。だが、愛美にはそれでもよかった。
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