第1章 始まりの出逢い

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 柿崎(かきざき)ホールディングス。  そこは、主に不動産業で利益を出してきた大企業である。  現在の社長である柿崎 圭一(けいいち)はとても有能であり、今もなお業績は右肩上がり。  そんな圭一には二人の娘と一人の息子がいる。上二人の娘はすでに他家に嫁いでおり、残った息子は現在アメリカで経営学を学んでいるという話だ。  そんな柿崎ホールディングスで圭一付きの秘書をしている(さかき) 愛美(まなみ)は、この日秘書室で困惑の表情を浮かべていた。 「お願い! 本当に今日だけでいいの!」 「……でも」  愛美はその少し吊り上がった形をした目に、困ったような色を宿す。  目の前には同僚であり、良き友人である三井(みつい) 由宇花(ゆうか)が必死に頭を下げている。  こうなったのは、幾分か前。なんでも、由宇花が知り合いと共に行うという合コンで、欠員が出てしまったらしい。 「今回はハイスペックな人ばっかりだからさぁ……。どうしても、欠員を出すわけにはいかないのよ……!」  由宇花はつい数ヶ月前に恋人と別れ、絶賛彼氏募集中の二十四歳だ。そのため、今回の合コンにかける意気込みは違うのだろう。  ……けれど、そこに愛美を巻き込むのは勘弁願いたい。
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