第1章 始まりの出逢い

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「ねぇ、今日のって……」 「えぇ、いいところの御曹司とかいらっしゃるらしいわよ!」  前を歩く二人の女性社員の話を聞きつつ、愛美は疑問を持つ。御曹司が合コンになど参加するのだろうか? もしかしたら、これも社会勉強の一種なのかも――と思った。けれど。 (そもそも、合コンって社会勉強になるの……?)  そう思ったら、どう頑張っても答えなんて出てこない。結局、愛美は考えることを止め、由宇花に促されるがままに彼女が捕まえたタクシーに乗り込む。  女性社員の一人が助手席に乗り込み、残りの三人で後部座席に乗り込んだ。 「『シルヴィ』までお願いします」  由宇花が何でもない風にそう言う。タクシーの運転手も何の疑問もなく車を走らせ始めた。……が、ただ一人。愛美だけが狼狽える。 (え? 『シルヴィ』って、かの有名な高級ホテルじゃあ……)  何となく、嫌な予感がする。それに、先ほどの女性社員の会話。……もしかして、これって合コンじゃないんじゃあ――。 「ね、ねぇ、由宇花。……これ、本当に合コン……?」  隣に座る由宇花に恐る恐るそう問いかける。すると、彼女は舌を出した。
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