雨降り

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
「お、実はな、昨日も一人でレストラン行って来てん」 僕がそう言うと基子は怒りだした。 「何よ、あんた。私も連れてってよ。何よ、自分一人だけ美味しい目して」 「そう怒るなって、ジョッキビール4杯飲んだだけや。しかし、ワインも飲みたかったな」 「あんた、バツとして、焼酎の飲める店連れて行き」 そう云うから結局僕は基子を飲み屋に連れて行く事になった。 焼酎のある店だ。 焼酎も久し振りに飲むと答えるね。 僕「あーー、きつい酒だな」 基子「あんた、罰やで」 「まあしかし、うまい罰やな。」 「ところで、ロシアの友達とはうまくいってるの?ウクライナのこととか?」 僕は一杯ギューっと飲み干して、言った。 「実はな、ロシアのゼムフィーラって歌手が歌った『撃たないで』っていう曲あんねん。 前にも話したやろ?あれに日本語字幕付けてアップロードしてん」 「まあ、あんた、そんな事したら殺されるで」 「なんでやねん」 「なんで、って発表したんやろ?ほな、ロシアの敵、いやプーチンの敵やん」 「別にウクライナ戦争を正当化してるんなら、それに反対して何が悪いねん。 ここは日本やぞ。日本まで来て俺を殺しにくんのか?ほなやってみいや!っちゅうねん!」 「まあ、動画アップすんのはやめとき」 「やや!」 僕「さあ、こうやって喋ってたらまたジョッキビール飲みたくなったな。 一緒に行くか?」 基子「しゃーないなあ。どこで飲むんよ?」 僕「焼き鳥屋がええと思うねんけどどない?」 「ええわよ。」 基子「(店の人に)たこくれますか?」 僕「何やねんタコって?」 「あんたがタコやって言うてんねん」 「しかし今日は、雨やな。」 「うん」 「俺、雨の音好きや。落ち着くわ。」 「ほな、Youtubeで雨の音で検索して聴いてみいな。ええで」 「いやあ、出来たら今日みたいに生の雨の音聴きたいわ。ポタポタっていうし」 「川の音、砂浜、雷鳴とかいろいろ効果音あるよ」 「知っとるっちゃ。俺、今度その音使うて、スライドショー作ろうか思うてんねん」 「そんなん普段やってる事やろ?」 「いや、地域活動センターでスライドショーを作るねん」 基子は首を傾げた。 「でもあんた、映画作るって言ってたやん。あれどないなったん?」 「映画撮るとなると、撮影許可要るやん。人物も背景も。あれが面倒やってん」 基子は笑った。 「ハハハハハ(笑)そんなん当り前やん。人物に許可とんのは当り前よ。 それに今日日、河川を撮るのにも許可いる時あるねんよ」 「そうよ、だからその許可が面倒やから、スライドにするねん」 基子「なるほどねー。ところであんた、最近はうどん屋いかへんやん。飽きた?」 僕「うどん屋って〇亀製麺か?あそこも飽きたな。うどん飽きたで」 「じゃなにがええのよ?」 「蕎麦かな?蕎麦の方がおいしく感じられる。〇〇辰でも行こうかな?高いけど」 基子はこっちの匂いをクンクン嗅いだ。 「あ、あんた、またジョッキ飲んで来たやろ?」 「なんでお前みたいな酒飲みがそんな匂いが分かるねん?」 「わかるわ、そんなん。顔赤いし。どこで飲んできたん?Nださんとこ?」 「あ、あそこは月曜日休みや。わては、近所のラーメン屋行って来てん。ジョッキ2杯だけや」 「おおいやん。下戸やのに」 「さあ今日もこれから焼き鳥屋に出も行くか?」 基「あんたまた飲みに行くの?アル中になるで」 僕「たいしたことないで。おまえの飲んでるのの  の一程度や」 「鳥かわでも食うのん?」 「そうよ、つくね、なんこつとかな」 店は狭い店だ、1階だてのワイワイいってるところだ。 僕「(店の人に)すんまへん、飲み物中ジョッキで」 基「ほな私も」 かんぱ~い。 僕「すんまへん(店の人に)鳥の詰め合わせ10本入り下さい」 「へえーい」 基子「何でそんなん知ってるの?」 「わいか?ネットで下調べしてん。」 基「他に何飲もうかな?焼酎がええな。」 僕「何よ?」 「かのか、とか二階堂とか、芋焼酎もあるし」 「あんた、バーボンのハイボール飲みや」 「やや、また去年みたいに吐くやんけ」 「酒飲みは味にうるさいやろ?」 「酒飲みって言わんとって―や」と基子。 「K山も酒強いで、味にもうるさいし」 基子「あんた、何かわけのわからん『∞』とかいう曲訳してるな? ロシアのメル友から教わったん?」 僕「いや、あれ、わけわからん、って言ったら、向こうも分らんと言ってたわ。 それを解読するのに、20年かかったぞ」 「最後の数学の先生が何言ってるか日本語でもわからん」 「俺、ゼムフィーラの曲もっと翻訳しようかな?PVでカーセックスするやつあんねんで。  見るか?」 「要らんわ」 「先生『電子の物理学そして一方では粒子であり、 他方では波と光の特性を持っているため内容は深いです。』って何よ?」と基子。 僕「つまり電子は、電子レンジにも使われているしメガネレンジにも使われてる、  究極的には石橋蓮司に使われてるんだ」 「ええ加減な事言いな」 そこに、焼き鳥の詰め合わせが来た。味はまあまあかな。 僕「やっぱり皮美味いな。おかわりしようか?」 基子「あんた太るで」 「(ひそひそ声で)キリンの生中って美味しないな。スーパードライの方が美味い。  アルコール分低いんちゃうか?」 「あんた、普段、スーパードライ飲まへんやん。」 「そやなあ。ジョッキの味落ちるわ」 「(ひそひそ声)あんまりくささんときや。店の人聴いてるで」 僕「明日もまた、飲みに行くか?」 基「家で飲みや」 僕「昨日凄い雨やったな?」 基子「夜中やろ?ずーっと降ってたね。」 「あんだけ降ったら外出られへんな」 「家でじっとしてたらええやん」 「これから梅雨にむけて雨よう降るかな?」 「そらな」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!