路地裏ヴァンパイアハンター

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「お先に失礼しまーす!」 終業後、店を出たアンドレアは、先ほどの男がひとり 歩く姿を見つけた。 建物の角を曲がって、路地裏に入っていく男。 彼女は踵をかえし、男の背中を追いかける。 しばらく進んだところで、男は足を止め、振りむいた。 「俺に何の用だ?」 きつい眼差しに気圧されそうになりながらも、アンドレアは男の顔をまっすぐ見据える。 「ねえ、最近ここらで行方不明事件が多発してるの、知ってる?」 「ああ」 「ぶっちゃけ、あんたが怪しいなって思ってつけてきた。もしかして、あのバーで、獲物を物色してたんじゃないかな、って」 頭をかいた男は、小さなため息をつく。 「……見当違いもいいとこだな。おじょーちゃんは、早く家に帰ってクソして寝ろ」 「黒づくめのゴツいオヤジに、おじょーちゃんなんて呼ばれる筋合いないんだけど」 「化粧でごまかしちゃいるが、お前、せいぜい17、8くらいだろ?あのバーで、年齢偽って働いてんじゃねーの?」 アンドレアは悪びれることなく答えた。 「……そうだよ。あんたの言うとおり」 「つまり、ワケありってことか?」 「さっき、行方不明事件の話をしたでしょ?あたしの姉さんも、そのひとりなの」 たったひとりの家族である、姉のケイト。 早くに亡くなった両親の代わりに、自分を育ててくれた。 日中はスーパーマーケットでレジのパート。夜はあのバーでウエイトレスのバイト。 かけもちで働いて、疲れているはずなのに、姉が笑顔を絶やすことはなかった。 「あのバーで働いた夜、姉さんはうちに帰って来なかった。警察も探してくれてるけど、一向に見つからなくて……。だから、手がかりをつかみたくて、嘘ついてあそこで働いてたってワケ」 自分の事情を話し終えたアンドレアは、誰かが路地の行き止まりでうずくまっているのを見つけた。 「あれ?あの人……」 「……おい!」 男の制止を振り切り、彼女は駆けだしていく。
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