路地裏ヴァンパイアハンター

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ヴァンパイアが指を鳴らす。 それが、開戦の合図だった。 先ほどまでの緩慢さが嘘のような動きで、牙をむき出しにし、一斉に襲いかかってくる下僕たち。 対するハンターは駆け出すと同時に、両手で構えた2丁の自動拳銃を連射する。 耳をふさいでいても、伝わる衝撃。 次々と舞い散る空の薬莢。 対ヴァンパイア仕様の銀の弾丸に、心臓を撃ち抜かれた下僕たちの身体は、砂のようにさらさらと崩れていく。 弾倉が空になった右手の自動拳銃を、ハンターは躊躇なく投げ捨てた。 左手に握る自動拳銃を撃ちながら、右手で懐から瓶を取り出し、歯で栓を抜いて放り投げる。 きらきら、宙で輝きながら、雨のように降り注ぐ聖水。 浴びた下僕の身体は煙をあげて溶けていく。 彈切れになった左手側の自動拳銃を投げ捨てるや否や、ハンターはマシンガンを両手に握り、一気に下僕たちを倒していく。 金のロケットだけを残し、姉の身体が消えていく様を、アンドレアは涙でかすむ視界で捉えた。 下僕たちを全員(ほふ)ったハンターの足が地を蹴る。 ロングコートの裾がはためく。 右手に細い長剣、左手にマシンガン。 ヴァンパイアに向けて弾丸を撃ちながら、大柄な体格に似合わぬ俊敏さで、懐に飛び込んでいく。 鮮やかな一閃。 銀のレイピアで首を斬り落とされたヴァンパイアは、苦悶の叫びを上げながら消滅していった。
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