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彼女が成仏した翌年、オレは死んだ。夜中に胸が苦しくなって、段々世界が真っ白になり、魂が上に引っ張られる感覚がして、アッサリと死んだ。
天国に行ったオレは神様からこう言われた。
「キミの次のステージ、本当はスペインかブラジルだったのだが、予定変更でまた日本になったから」
そしてオレは前世の記憶を封印されて、今度は女の子として産まれた。
だからこの先はワタシと書く。
ワタシの父は転勤が多くて、色々な地域を転々とした。英語が好きで高校2年でイギリス留学にも行った。彼氏が何度か出来たけど、余り長続きしないで別れた。普通に大学に通い、銀行に就職して千葉の支店に配属された。
平凡な日々は、銀行強盗事件で破られる。ネットで集まった若者達が白昼堂々と襲って来て、金庫の現金と逃走車両を要求して立て籠ったのだ。その人質にワタシも含まれた。
事件は瞬く間に報道され、日本中が固唾を呑んで見守る中、立て籠りから10時間が経過した。ワタシ達は疲労と緊張でフラフラとなり、犯人達は明らかにイラ立っていた。銃を持った犯人の一人がワタシを立たせると、
「さっさと要求通りにしろ。コイツをぶっ殺すぞ!」
と包囲する警官達に吠えた。
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