▲独占欲▲

4/14
前へ
/216ページ
次へ
よくわからないけど、なっちゃんがうらやましがるということは良い意味なんだろう。 だから「じゃあこれからもずっと清くいないとね」と言えば、何故か柳沢くんは私の両頬を力いっぱいつねってきた。 痛い。何で……。 気が済むまでつねられて痛む頬を押さえる。 そんな私の袖を、柳沢くんはくいっと軽く引いた。 「ほら、そろそろ行こう」 「そうだね。じゃあねバイバイなっちゃん」 「ばいばーい」 なっちゃんに別れを告げて、私は柳沢くんの隣を歩く。 柳沢くんは横目で私を見て大きくため息をついた。 「……ずいぶん楽しそうだね」 「うん!だって今から柳沢くんのお母さんに会えるから!」 「こっちはそれが憂鬱なんだけど」 そう。 今日は柳沢くんの家にお邪魔する約束をしていた。 柳沢くんのお母さんにはこの前会ったけど、ろくに自己紹介もできていなかったし、そもそもあの時点では本格的に付き合ってはいなかったので、改めて挨拶に行きたいと言ったのだ。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

477人が本棚に入れています
本棚に追加