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確かに彼らの言い分はよく分かる。画面越しで見てもその美しさに毎回驚くのに、張本人があんなに近くにいてその視界に映っているなんて考えたら無理だ。
今からその人に関するクイズに答えるなんて、冷静になれない。
だけどいきなり唯一無二と称した存在から隔離されてほしいと頼まれた律は、なんとも言えず複雑そう。こんな苦汁を飲まされたような律、初めて見た。さすがりつむぐ、常に新しいを提供してくれる。
「はぁ、笑いすぎてお腹が痛いです。さて、東雲さんどうしましょう?」
「えー、嫌ですよ。せっかくの機会だからファンの皆さんと同じ空間にいたいです。普段こんな風に直接顔を見られるのもコンサートぐらいですしね」
そう言って、番組観覧越しのカメラにウインクを飛ばす律。キャーと黄色い歓声が上がって、みんな目をハートにしてる。
オタクは単純、たとえ自分だけに向けられたものじゃなくてもその姿が見れただけで喜ぶのだ。
だけど律を直視したら目が潰れると思っているのか、(そのうち眩しすぎて本当に潰れそうではあるんだけど、それは一旦置いといて)紡くんはファンサをする律の方を一切見ようともせずに口を開く。
「……じゃあ、せめてマジックミラーを用意してください。律の目に映ると思ったらクイズどころじゃないです」
「ちょっと、スタッフー! 吉良くんの目がマジですよー!」
真顔で宣っているところ悪いんだけど、三河さんにつられて私もついつい笑ってしまった。
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