一線を超えた後は一緒に歩こう

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岳登が意識を取り戻すと、暗い山道だった。周りは黒々とした木が生える山に囲まれていた。 どうやらこれが「死出の道」のようだ。古典文学で言われていた風景そのままじゃないか。 母をたずねて三千里ならぬ、不動明王たずねて八百里か。ここから八百里を歩く間に俺の葬儀が催されて、食料はこの間に参列者が行った焼香や墓に供えられた線香の煙と言ったところか…… と、言った古典教師らしいことを考えながら岳登は死出の道の一歩を踏み出した。 すると、後ろから肩を叩かれた。岳登が振り向くと、そこにいたのは美香代だった。 「き、君は…… 俺を刺した……」 「また会えたね。先生? あーし、先生が死んだって思ってすぐに喉刺して追いかけたんだ! そうしたらすぐに会えた! 超嬉しいんだけど!」 二度の再会を経て、二人は同じ道を行くことになる……                            おわり
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