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すると、美香代は信じられないことを言い出した。何も考えずに脊髄反射的に「岳登が好き」と言う気持ちを口走ってしまったようなものである。
「じゃあ、先生と同じ大学行こうかな?」
「え? 城南大学に?」
岳登の通う城南大学は偏差値70オーバー、美香代の偏差値は前年までの成績表を見る限りはBF大学が精一杯。雲をつかむような話である。失礼な話ではあるが絶対に無理であると考えるのであった。
「いいんじゃないの? 記念受験で受ける人も多いし。この辺りは来月以降のちゃんとした進路相談で山田先生と考えるんだね」
岳登の教育実習の日々は過ぎて行く、その間にも美香代の岳登に対する想いは大きく大きくなって行くのであった。
岳登は教育実習生の教師である。教育実習が終わり、別れが訪れると言う現実が美香代の胸をきつくきつく締め付ける。想いを告白したいと考えるが、教育実習生と生徒がこのような関係になったとなれば多大な迷惑がかかるだろう。教師になるのがかつてからの夢だった人にこんなことで迷惑をかけられない。
美香代はその想いを伝えることも出来ずに岳登と別れを迎えることが悔しくて堪らなく毎日のように枕を濡らすのであった。
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