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岳登の教育実習終了後、美香代は心にポッカリと穴が空いたような毎日を送っていた。
毎日のように考えることは岳登のことばかり、一日二十四時間ずっと岳登のことで頭が一杯になっていたのである。
そして、美香代は一大決心をするのであった。
ある日、美香代は担任の山田先生に職員室に呼び出された。つい先日書いた進路希望調査票の件である。
「おい、千代森? これはどういうことだ?」
「見たままですけど」
「第一希望に城南大学の教育学部のみとはどういうことだ!」
そう、美香代は岳登を追いかけるために城南大学へと進路を決めたのだった。
例え、一年しか同じ大学にいることが出来なかったとしても構わない。これ程までに美香代は岳登を希求していたのだ。
そして、出来ることならば同じ道を一緒に歩みたいとも考えているのであった。
美香代の成績を知る山田先生は「絶対に無理だ」と考えていた。
「冗談のつもり…… だよな?」
「本気です」
「こういう事は言いたくないけど、落ちるぞ? 記念受験じゃ箔はつかないぞ?」
「落ちるつもりはありません」
まぁ、いざ受験シーズンになればかなりランクを下げた志望校に願書を出したいと言ってくるだろう。山田先生はそう考えていた。
しかし、美香代は本気であった。アルバイト先も辞め、友人との遊興の誘いも全て断り、それに費やす筈だった時間を全て勉強に充てたのである。学校が終われば予備校に行き、家に帰れば深夜遅くまでの予習復習。
毎日が勉強漬けであった。偏に岳登に再び会うためだけである。
格好もギャルから清楚に清楚を極めたような女子高生へと変化している。
いつまでもギャルをしているようでは先生の横に立つことは出来ないと、一念発起し、ギャルを引退したのであった。
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