ため息と流し目

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「こんにちは」  大和くんの声で思考が一旦停止する。お見舞いに来てくれたんだ。部屋に入ってきた時は強張った表情をしていたけれど、私と目が合うと優しく微笑んでくれて、なんだかほっとする。だから、大和くんが来るまで考えていたことを、思わず口にしてしまった。 「ヤマトくんは、こわくない?」 「何が?」 「わたしは、かみのいろも、めのいろもちがう」  病気の時はどうしても、不安に思っていることが頭をもたげる。結局、夏休みに入るまで、お友達はできなかった。  大和くんは一瞬悲しそうな表情を浮かべたけれど、すぐににっこり笑って言った。 「怖くないよ。エミリーの髪はナトリウムの炎色反応みたいだし、目は硫酸銅の結晶みたいだ!」 「リー・サンデュー……?」 「うん! エミリーは見たことない? すごく綺麗だよ!」  大和くんは一旦家に帰り、しばらくしてもう一度訪ねてきてくれた。走ってきたんだろう、息を切らせて、頬が赤くなってる。 「これ!」  差し出してくれたのは、プラスティックのケースに入った5センチくらいの半透明の青い結晶。鉱物のような華やかな輝きではない。だけど、擦り硝子のような落ち着いた質感はなんだか優しく感じられたし、鮮やかな青がとても美しい。
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