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姉や祖父の生活を見守るのに母は、度々僕を連れてイギリスに帰った。
懐中時計のコレクターである祖父は、僕と一緒に蚤の市を巡るのを楽しみにしていた。僕が長い休暇の時は、ロンドン郊外の開催地まで足を延ばした。
古今東西の様々なモノが集まる蚤の市。
僕の感性が磨かれた場所。
アンティークの懐中時計を収集するのに余念がない祖父の横で、僕は古材や建具に興味が引かれた。
かつて誰かの家を支え飾ったそれらは、時が醸す独特の美しさを持っていた。
市で、必ず会う女子がいた。
アリス。
彼女も又、コレクションという沼にハマった祖母と来ていた。
大人達が熱心に推しアイテムの話をしている間、僕達は仲良くなった。連絡先を交換し、僕が帰国しても距離を越え語り合った。
波長が合う初めての異性。
それからお互い思春期を迎え、恋に恋する時期。気心知れた相手をその対象に選ぶのは、ごく自然な流れだった。
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