転機

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転機

「…ふっ…ウン、あっ」 髪を振り乱し、喘ぐ彼女を見下ろす。 何回目の逢瀬だろう。 無性にシタくなると、彼女をリストに入れる。 彼女、轟 馨(とどろきかおる)さんとは偶然、引き受けた現場で先日会ってしまった。思いがけない世間の狭さに、驚きを隠せない。 僕がアプリを利用したのは、仕事絡みで会わない女性を探す為。正確に言えば絶対に、そらと遭遇しないフィールドを漁った。だから以前色目を使ってきた藁科さんは、ONEチャンもない有り得ない相手。 「あ、そこ…」 欲望に忠実な馨さんは、自らの気持ち良い場所を的確に教えてくれる。 「好きだもんね、ココ」 長い指を彼女の中で、淫らに動かす。 下から聞こえるジュブジュブと慎みない音が、更に僕達を煽る。 「あーあ、こんなに濡らして」 前触れもなく抜いて、彼女の前で見せつけた。2本の指がチープなライトに照らされ、妖しく光った。 ここはレトロなラブホ。 洒落たホテルだと、知り合いに会う可能性が捨て切れない。 全面ミラーが客人達の些細な興奮を、最大限に引き上げてくれる。安上がりな仕掛け。 彼女の物欲しそうな瞳が、僕と指、交互に這う。 「欲しいの?どっちが?」 僕が意地悪く聞くと、彼女はいきなり僕の指を咥えた。同時に下半身へ手を伸ばしてくる。 「…うっ」 上目遣いでしゃぶりながら、淫靡な視線が刺さった。上下で同じ様な動作をする合間に、彼女はさっきの質問に答えた。 「両方」 大和撫子なスタイルを捨て、君が彼女みたいに貪欲になっている姿が見たい…。
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