転機

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ベッドサイドに腰掛け、長く伸びた避妊具を処理していると、背後が軋んだ。 「今日、イライラしてたね」 ベッドから降りた彼女が、ルームドアの方に行く。意外な言葉に目が彼女を追う。 彼女は床に散らばった服を、器用に歩きながら身に付ける。鞄の中の携帯を取りに行くのか。 「そらって人と何かあった?」 「!!」 僕は全裸のまま立ち上がり、携帯を持つ彼女の手首を掴む。 「びっくりした!何!?」 「何で知ってる?」 自分でも驚く位低い声が出た。馨は怒った様に僕を振り払い、 「気付いてないの?自分が囁いてるの?」 そしてチラッと下を見て、 「着て」 僕が急いで着衣する間も、彼女は話を続ける。 「あなたの名前を知ってから、ネットで調べたわ」 「簡単に経歴が出てきた。三ツ橋敬三氏に師事し、ご令嬢とSKYデザイン事務所を立ち上げたって」 「…」 「でも彼女の名字は金森そら。あー私は抱けない人の代わりなんだって悟った」 「口外するなよ」 そう言って僕が睨みつけると、彼女は 「ハッ!誰が言うの?本命の代わりに抱かれてますって。別に激しいの好きだから、イイけどっ!」 吐き捨てる様に言って、画面をスクロールし始めた。
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