転機

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相手を利用してたのは、お互い様か。 アプリを使った一連の茶番劇。 原因は、痛い程分かっている…あの男が君を抱くから。 事務所を立ち上げた当初、順調とは言い難く、二人でよく酒を酌み交わした。 滅多に泣き言を言わないそらが、その時ふと漏らした悩み。 『彬は浮気したことある?』 呑んでた酒でむせ返った。 アリスとは別れた原因が、距離ばかりでなく君にあったとは言えない。 折りに触れ、そらへ自分の心が移動していったから。 ふと直感が働き、 『もしかして彼氏が浮気した?』 涙ぐむそら。 『…もう女に見えないのかな?…』 踏み込んだ発言に、ぐっと拳を作り君に触れるのを耐えた。 君は綺麗だ。 君が好きだ。 君を尊敬してる。 きっと僕が何を言っても響かない。 この瞬間、君が聞きたいのは 愛してる。 抱きたい。 という恋人からのダイレクトな言葉。 僕は万感の想いを込め、 『そらは十分、魅力的だよ』 想いが伝わったか分からないが、君は苦笑いしながら『有り難う』と言った。 君に恋人がいるから、仕事上のパートナーで我慢していた。 でも(じき)に、プライベートな時間も共に過ごせるかもしれない。 そんな踊る気持ちが、デザインの活力となった。 だから不実な男と結婚したと知った時は、青天の霹靂だった。
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