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貴史と買い物に行きました(2)新しい友達
昼食の後も、尚史が帰ってくるまで池谷もいて、ずっと一緒にトランプやかるたをして遊んでいた。
そして尚史が帰宅し、四人で夕食を食べた。
「そんなことがなあ。
春彦はけんかっ早いからな。気をつけろよ」
「フン。そんなヘマするかよ」
春彦はそう言って冷笑し尚史は池谷に話しかけた。
「池谷も、悪かったな。息子の遊び相手をしてもらって」
「いえいえ。どうせ何も予定なんてなくてヒマでしたし」
池谷はそう言って笑い、力の無い溜息をついた。
「どうした。まさか」
「はい。また自然消滅しました。忙しい忙しいってデートをすっぽかされてばっかりで嫌って。今日休みになったんで電話したら、とうに終わったと思って別の彼氏ができていると聞かされました。はは。はあ……」
尚史と春彦は顔を見合わせてから、池谷の背中をバンと叩いた。
「運命の相手じゃなかったんだよ、な」
「理解してくれる人もちゃんといるから。お前の良さも、仕事も」
貴史もよくわからないままに、元気のない池谷に、
「池谷さん、春ちゃんと友達になったから寂しくないよ。はい。どうぞ」
と言いながら、ノンアルコールビールをグラスに継ぎ足した。
「ありがとう。へへ。何か元気出てきたぞう」
池谷はそう言って笑った。
池谷が帰り、貴史が布団に入ると、尚史は春彦に訊いた。
「いいやつだろ」
春彦はちょっと横を向いた。
「優しいとは思うけどよ。ちょっと、頼りなくねえか」
尚史は少し頬を緩めた。
「刑事としては、優しすぎる所はあるかな。でも、いいやつだし、いい刑事になると思うぞ」
「ふうん。そうかあ?」
春彦は疑わしげにそう言って肩をすくめると、
「じゃあそろそろ帰るぜ」
と家を出た。
そして、
「軟弱そうだけどなあ。あんまり弱っちいのは、舎弟にもなあ」
と呟いた。
池谷はアパートに戻ると、明日のために手早く入浴の準備をしながら冷凍庫の中に入った冷凍のお好み焼きをふと見て、春彦たちを思い出した。
「お好み焼きは確かに美味しかったなあ。
でも、学生にケンカを売る所だったし、どういう人なんだろう。まあ、先輩の友達らしいから悪い人じゃないとは思うけど。
でも、あんなに細くて筋肉もなさそうだったし、意外と口だけで腕力はなかったりして。はは。
まあ、派手そうだし、これまで友達になったことがないタイプだったなあ」
そう呟いて、冷凍庫を閉めた。
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