オレンジの感想

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オレンジの感想

オレンジも読んだので感想書きます。 一言でいうと、「ちょいちょい挟まれる主人公のエピソードがいつもタイミング悪い百合」です。 この話のあらすじは前に書いたのでそれを参照してもらえればと思います。 主人公……鮎子。死んだ母親が大好き。その関係で新しい父親と不仲。 泉子……寮での鮎子の同室の先輩。「マリア」と呼ばれている 薫……泉子の従兄、泉子が好き 鈴……前に泉子と同室だった生徒・ヤンキー この4人を押さえてもらえると話がスムーズ。 前に書いた通り、泉子は、お嬢様カトリック系学校から、急に失踪してしまい、直後、泉子の実家も火事になり身内5人が死亡。翌日、薫の弟の光が、薫と光の家庭教師で泉子の恋人? を刺すという事件が立て続けに起こる。 以下ネタバレ。 家庭教師が実行犯ですね火事に関しては。で、泉子が殺人教唆。予想半分当たった。 ただ、実際そうなのかっていうのは、最後までわかんないんです。ご想像にお任せしますみたいな感じなオチなので。ミステリとしては消化不良です。そして、やっぱり鮎子と父親は和解する。 泉子は、家庭的に特殊なDVを受けていて、監視が強いプライバシー皆無の環境で育っている上に、しかも家では従兄弟二人と家庭教師に求愛されているという地獄状況。その上、学園では「マリア」として祭り上げられており、非常にストレスを感じていた。 そこへ奔放なヤンキーの鈴が現れて、泉子を精神的に開放する。と同時に、二人は芸術分野で高い才能を発揮し、泉子が小説、鈴が挿絵を担当していたHPが出版社(S社って書いてあったので集英ヨイショと思われる)に認められてスカウトが来る。 でも泉子は家族で内緒で小説を書いていたのに、それがふとした拍子に監視の強い家族全員に知れ渡ってしまい、全員からやいやい言われて、羞恥的なショックがマックスになる。家族は小説なんて認めないタイプっぽいし、何より厄介なのは、この家族、泉子が鈴と遊んでることに大反対なんですよね。 死ぬほどショックを受けた泉子は、自分に好意を持っていた家庭教師を利用し、家族に報復する。その後、光を使って家庭教師も始末させようとするが失敗する。 ……ってことだったのかな? と状況証拠から主人公と薫が想像する感じの話です。 泉子と鈴は、いわゆる百合の関係。鈴は、みんなのマリアである泉子を堕落させた悪魔で、泉子は鈴に感化されて、穢れたマリアになった、二人のゆくえは杳として知れない、みたいなオチ。泉子と鈴はすでに死んでるのかもしれないと思わせるラストだったけど、そこもあいまい。 この泉子と鈴の関係はたぶん作品の一番の魅力です。一方、問題は主人公の鮎子の間の悪さです。 泉子と鈴のエモい関係に読者が感じ入っているときに、ぶしつけに自分と母親との関係に(無理に)重ねてきて気を削いだり、泉子行方不明事件が佳境に入ってきて、ちょっと黙っててほしい、というところで、なぜか自分の母親のことを思い出して泣き出し、薫を困惑させたりとか。終始自分とその母親のことばかりで、かつその問題が全く魅力的に見えないので(隠された事情が初期時点でうすうす読めてしまうから)、お口チャックしておけ鮎子、と言いたくなる。 鮎子が主人公なのでこの話を切り開くことができるのですが、同時に、この話に鮎子はいらないなと思えてしまう。 心理描写とか、字の文とか、受賞してるんで一定の水準以上です。さらに短編賞取ってきてるので、この作品を応募する時点で編集ついてるだろうから(邪推)、いわゆるオレンジらしい小説に仕上がっているというか。 オレンジって、抑圧された主人公が多い。文章とか展開は、わりと重ためで。どろっとした感情が詰まってる、20代くらい向けみたいな感じの。そういう、っぽさを全部押えてきている印象。 ただ、この人にしか書けないものって何だろうと考えた時に、ぱっとうかばなくて。だから大賞じゃなくて佳作なのかもしれない。うーんでも、強い個性なんか、商業においては要らんのかもしれんから、これがオレンジ的正解なのかも? とも思う。 お金を払って読みたいかと言われると、(ちょっと古い感じのテンプレ)百合が好きならいいかもだけど、そうでなければ特におすすめはしないです。 ーーーーーーーー コメありがとうございます 雑記帳3rd/p272/サバクトビバッタのドキュメンタリーを見たことあるけど、ホラー映画のようだったよ😱 →なんていうかヒッチコックだよね。私読んだの本だったけど、映像はもっとすごいだろな…… ーーーーーーーー 雑記帳3rd/p272/バッタ本というより、モーリタニア滞在記として読むと良さそうですね。神の罰解決の論文がいつか出るといいですね✨ →この本、続刊があるっぽいんですよ。そっちで解決されてるかもしれない。そういえばハンゴンサマをこないだ書店で発見しました。トップで掲載なんですね! その店は3冊置いてありました。 ーーーーーーーー 雑記帳3rd/p272/前野氏、これから活躍する予定だったり?バッタが食料になれば良いですが、薬剤まみれじゃ食べられないですねぇ…。 →そうそう、俺たちの戦いはこれからだ、みたいな感じで終わってった笑。ちなみに前野氏はバッタアレルギーなのです…… ーーーーーーーー 雑記帳3rd/p272/バッタ本、バッタ以外の部分で充実なのですね( ´艸`) →そうなんですよー、バッタ以外の知識が充実する本でした。最近、中国語版も出たらしいです。 ーーーーーーーー 雑記帳3rd/p271/「神の罰」は旧約聖書の出エジプト記に出てきますね。死語多めのジョークが気になる… →神の罰って、そういう意味なんですか! アフリカの神って何だろうって思ってたんですよね。死語多めなんですよ、昭和感強めな感じで。
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