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「す、す、すごいって具体的に何がどうすごいんです?」
べっ甲柄の眼鏡が傾きそうなほど、ぐいっと上げた。彼女の前で己のちっぽけな性欲を隠す必要はないだろう。
「やっぱ興味あるんだぁ。まあ、社食で具体的には言えないけど、アレへの価値観が変わるんだってよ」
ごくりと息を呑んだ拍子に、ねぎも一緒に飲み込んだ。はっきり申し上げて興味しかない。
「確か、女性用って最後まではしないんですよね?」
右見て左見て、安全を確認してから訊いた。一応、ここは社員食堂だ。誰かに聞かれて、変な噂が立っても困る。
「らしいね。女性は男性と違って、情が入っちゃうから最後までするのは難しいんだって」
性差別があってはならないけど、男女は一様に等しいものではない。男と女ではやはり根本的に脳のつくりが違うんだろうと思う。中には情を入れずに割り切れる女性もいるだろうけど。
自分はどうだろうか。割り切れそうな気もするし、がっつり情が入る気もする。いずれにせよ、久しぶりに胸が高鳴っていることだけは確かだった。
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