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1.島流し
こんなの、島流しとなにが違うのだろう。
視界に映るのは海と、遠くに連なる五島列島の島影。
穂香は脳天を焼く陽射しと共に、己の境遇を呪う。
中学二年の夏休み。受験もなく、のんびり過ごせる最後の夏休み。
……学校に行かないで、人と会話するなんていうわずらわしさもなく、家にこもって好きなだけ本を読める。そんな夏休みを送れるはずだったのに。
ここには、なにもない。
絶望する穂香と、妹の咲奈は今、長崎県の端っこ、台風中継のときだけニュースに出るような、そんな小さな漁村にいた。
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