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「あの、その、ごめん。お前の気持ちも考えないで。今度は……きちんと読む」
「……本当?」
赤い目で問いかけてくる凛に、頷き返す。周りの生暖かい視線が痛い。
すると、福音のように予鈴が鳴り響き、本日の鬼ごっこの終わりを告げた。
凛は「それじゃあ、また明日ね?」と念を押すように言い残し、教室へ戻っていった。
それを合図にしたかのように、野次馬たちもめいめい散っていき、僕一人が残される。
散らばった紙片の一枚を手に取る。内容は読まずに食べたとしてもわかる。恋文だ。
この手紙に込められているのは、殺意か好意か。
「不死者を殺すただ一つの方法は、愛するものからの一刺し……か」
凛が不死者である僕を殺すためには、僕にとっての最愛の人になる必要がある。
だから僕は凛を避けるし、恋文など受け取るわけにはいかないのだ。
「また明日ね……か」
凛の涙がナイフより深く僕の胸に突き刺さっているのは、どうしたものだろうか。
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