NO ESCAPE,NO LIFE

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「っていうか、ここはやばい」  走っているのは、遮るものがなにもない渡り廊下の中腹。自分以外の人影はなく、走り抜けるにもあと数秒はかかる。  振り返ると案の定、ナイフを振りかぶる凛の姿があった。小手先で避けようとしても、彼女はリリースの寸前まで修正を利かせることができる。  何を隠そう、その芸当を身をもって味わい、本来ならありえない部分から昼食が流れ出た経験がある。  反射的に飛び出しそうになる身体をぎりぎりまで制し、凛の投擲の瞬間に大きく飛び退く。  ナイフは小気味のいい音とともに、僕の足元に突き刺さった。汗がぽたりと滴ったのは、全力疾走のせいだけではないだろう。 「何度も言うけど、刺されば痛いんだぞ!」 「貴様がちょこまかと逃げるまわるからだ。足に風穴の一つも空けたくなる」  必死の抗議も、凛は涼風のごとく受け流した。
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