2人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は乱れる息を整え、手紙を取り上げるように受け取り、細切れになるまで破いた。
「受け取れるわけないだろう」
野次馬のテンションが絶対零度に冷え込むなか、凛の激昂に備えて、いつでも逃げれるように身構える。
しかし、凛は微動だにすることなく、みるみるうちに瞳に涙を溜めていった。
「がんばって……書いたのに」
まばたきで押し出された雫が頬を伝うと、凛は「あれ、なんでだろ」と不思議そうにごしごしと目頭を拭った。
凛が家庭の事情で不死者である僕を殺そうしていることなど、野次馬たちは露も知らない。「女の子からの手紙を破くなんて最低」「このゲス野郎」といった非難や罵声が上がり、生徒たちは暴徒化の兆しを見せ始めた。
メンタルまでは不死ではないので、正直、罪悪感で死にそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!