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「あのっ、秋人くん、ちょっといい?」
私はバスケを終えてボールを片付けている秋人くんを呼び出した。
「何?」
にこやかに返事をする秋人くん。
わわっ、秋人くん、爽やかな笑顔。
光る汗がかっこいい――じゃなくて!
私はすぅと息を吸い込んだ。
ずっと前から決めてたんだ。
十二歳になったら、十一歳の私とは違う私になる。
勇気をだして秋人くんに告白するって!
私は拳をぎゅっと握り、秋人くんを見つめてさけんだ。
「あの、秋人くん……好きです。付き合って下さい!」
い、言っちゃった~!!
だけど秋人くんは、一瞬キョトンとした後、すまなそうに視線を落とした。
「ごめんね、茉白ちゃんとは付き合えない」
ガーン!!
「ど、どうして? 他に好きな子がいるの?」
私が勇気をだして聞くと、秋人くんは少し照れくさそうな顔をしてうなずいた。
「うん、いるよ」
心臓がドクンと鳴る。
秋人くん、好きな人いるんだ。
「それ、誰? 私の知ってる人?」
恐る恐る尋ねてみる。
秋人くんは恥ずかしそうに笑った。
「となりのクラスの北根クインちゃん。知ってる?」
「う、うん……」
知ってるも何も、クインちゃんは私のともだち。
今年、クラス替えで違うクラスになるまではずっと一緒だったんだ。
長くてフワフワの茶色い髪。
陶器みたいにツルツルの白いお肌。
お人形さんみたいに大きな目の女の子。
それだけじゃなくて、スポーツ万能で勉強もできて、まさに完璧女子。
学校でもすごく目立つ存在なの。
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