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私は気持ちを切り替えて、『ペンタブ』さんに訊いた。
「じゃあ、次は何の写真がいいですか?」
「『肉球ぷにぷに』さんの写真がいいです。勿論顔は写っていなくて構わないんです。手とか、後ろ姿だけで十分なので……駄目でしょうか?」
そう訊かれて、私は少し考えた。
一応私のことを好きだと言ってくれている以上、私がどんな容姿をしているのか気になるのは自然だろうし、見せても差し支えないところなら別に構わないだろう。
「いいですよ」
「ありがとうございます。楽しみにしてますね。それでは、僕はこれで」
「はい、失礼します」
私は電話を切った。
今度、『なぎゅん』にでも後ろ姿の写真を撮ってもらおう。
顔は見えなくても、やっぱり少しくらいオシャレした方が、『ペンタブ』さんも嬉しいだろうか。
私はスマートフォンをテーブルに置いて立ち上がると、服を選ぶためにクローゼットを開けた。
クローゼットの前で立ち尽くしたまま、ああでもない、こうでもないと悩んでいると、私の足元にやって来たにゃん三郎が「何してるの?」という顔で私を見上げてくる。
「にゃん三郎も手伝ってくれる?」
にゃん三郎が小さく首を傾げて「にゃー」と鳴くと、私は言った。
「好きな服があったら教えてね」
私は次々に服を体に当てて、にゃん三郎に見せ始めた。
にゃん三郎が決めてくれたらラッキーくらいのつもりだったけど、にゃん三郎は黒地に花柄をあしらったワンピースの私を見て、また「にゃー」と鳴く。
自分ではなかなか決められないし、にゃん三郎の意見に従うことにしよう。
「ありがとね」
私はワンピースをクローゼットに戻して、にゃん三郎の頭を軽く撫でると、『なぎゅん』に連絡を取るためにスマートフォンを手に取った。
今まで浮いた話の一つもなかった私が、「男の人に見せるための写真を撮って」なんて言ったら、『なぎゅん』はきっとびっくりするだろう。
自分でもびっくりだ。
いつになるかわからないけど、できれば『ペンタブ』さんにいい返事ができたらいいと思う。
私はロックを解除して、ソファに腰を下ろすと、『なぎゅん』に送るメッセージを書き始めた。
参考文献・サイト
13.色覚の異常-目と健康シリーズ 13.色覚の異常|目と健康シリーズ|三和化学研究所 (skk-net.com) (二〇二〇年九月二十七日参照)
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