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私はすぐに『なぎゅん』に電話をかけた。
でも、『なぎゅん』はなかなか出てくれない。
私は一旦通話をキャンセルしたけど、『なぎゅん』は私の電話に気付いたみたいで、すぐにかけ直してきてくれた。
私は通話ボタンをタップすると、電話に出られなかったことを謝る『なぎゅん』に、暗号が解けたことを知らせる。
「えっ!? さっきの今でもう解けたの!?」
「うん、たまたますぐに連絡が取れたんだ。簡単な暗号だったから、あっさり解いてくれたよ」
私が『なぎゅん』に暗号の解き方を伝えると、『なぎゅん』が急に大きな声を出した。
「ああ! 言われて思い出したよ! 確かにそういう暗号だった!」
ちゃんとした文章が読み取れたからには、正しい解読なのだろうと思ってはいたけど、やっぱり『ペンタブ』さんは間違っていなかったみたいだ。
私はほっとしていると、『なぎゅん』が続けて言う。
「確か、わざわざ暗号表を作るのは大変だから、暗号表を使わずに済むシンプルな暗号にしようと思ったんだよね。結局解き方忘れちゃったけど、読めるようになって良かったよ。どうもありがとう。名探偵さんにも、お礼言っておいてくれる?」
「わかった。また何か解けなくて困ってる謎があったら、教えてね」
「うん、その時にはまた相談させてもらうよ。またね」
私は『なぎゅん』に別れの挨拶をすると、電話を切った。
そうしてスマートフォンの画面をカメラに切り替えると、丁度顔を洗っている真っ最中のにゃん三郎を撮る。
これからしばらくは、毎日にゃん三郎の写真を撮るつもりだった。
どうせならできるだけ新しい写真の中で、一番可愛く撮れた写真を載せたい。
『ペンタブ』さんはにゃん三郎を気に入ってくれたみたいだけど、もっとにゃん三郎のことを好きになって欲しかった。
そうしたら本当ににゃん三郎を『ペンタブ』さんに預けることなったとしても、きっと大事にしてくれるだろう。
私は少しスマートフォンの角度を変えると、もう一度シャッターを切った。
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