第6話 誰かからのメッセージ

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 私はにゃん三郎の様子を見ながら『ペンタブ』さんの電話を待っていたけど、すっかり沈む頃になっても『ペンタブ』さんの申し込みはなかった。  そろそろ、お夕飯の支度をした方がいいだろう。  私は、アプリのステータスを「離席中」に変更した。  にゃん三郎が早く眠れるように、私も早めに休むつもりだから、今日はもう『ペンタブ』さんと話す機会はないだろう。  他のお客さんの申し込みはあったから、ちょっとしたお小遣い稼ぎはできたけど、こちらが合図を送ったその日に『ペンタブ』さんが申し込みをして来ないなんて、初めてのことだ。  もしかして、連絡を取りたくても取れないような状況だったりするのだろうか。    スマートフォンやパソコンが壊れてしまったとか、怪我や病気で意識不明というのは、十分有り得る話だった。  どうせ只の考え過ぎで、今頃〆切明けか何かで爆睡しているなんてオチだろうけど、いつもと違うことが起こると、ほんのちょっとだけ――心配になる。    時々電話で話すだけの、よく知らない人なのに。    本当に何でもなければいいなと思いながら、私はスマートフォンをテーブルに置いて、ソファーから立ち上がった。
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