22人が本棚に入れています
本棚に追加
私はにゃん三郎の様子を見ながら『ペンタブ』さんの電話を待っていたけど、すっかり沈む頃になっても『ペンタブ』さんの申し込みはなかった。
そろそろ、お夕飯の支度をした方がいいだろう。
私は、アプリのステータスを「離席中」に変更した。
にゃん三郎が早く眠れるように、私も早めに休むつもりだから、今日はもう『ペンタブ』さんと話す機会はないだろう。
他のお客さんの申し込みはあったから、ちょっとしたお小遣い稼ぎはできたけど、こちらが合図を送ったその日に『ペンタブ』さんが申し込みをして来ないなんて、初めてのことだ。
もしかして、連絡を取りたくても取れないような状況だったりするのだろうか。
スマートフォンやパソコンが壊れてしまったとか、怪我や病気で意識不明というのは、十分有り得る話だった。
どうせ只の考え過ぎで、今頃〆切明けか何かで爆睡しているなんてオチだろうけど、いつもと違うことが起こると、ほんのちょっとだけ――心配になる。
時々電話で話すだけの、よく知らない人なのに。
本当に何でもなければいいなと思いながら、私はスマートフォンをテーブルに置いて、ソファーから立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!