第6話 誰かからのメッセージ

7/11
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
 私もチョコは好きだけど、チョコミントは歯磨き粉みたいな味がするから、ちょっと苦手だった。  チョコの甘さだけで十分だろうに、チョコミントを作った人は、何を思ってチョコにミントを足そうと思ったのだろう。  そして『ペンタブ』さんは、どういうつもりで人が真面目に話している時に、チョコミント味のポップコーンなんて食べているのだろうか。    私はお腹の底で怒りが小さく沸き立つのを感じながら、平坦な声のまま言った。 「『ペンタブ』さんがチョコミント好きなのはよくわかりましたから、もっと真面目に話して下さい」 「わかりました」  『ペンタブ』さんはポップコーンを飲み込んだみたいで、いつもの声で続ける。 「ちゃんと説明しますが、その前に一つ確認させて下さい。あの暗号は解けましたか?」 「解けたと思います」  私はメモ帳を開くと、そこに書かれた『つきあってください』という走り書きを確認してから続けた。 「『つきあってください』ですよね? これって何なんですか? イタズラですか? それとも遊びや買い物に行こうってことですか?」 「……違います」  きっとどちらかが正解だと思ったのに、意外な反応だった。  でも、この『ペンタブ』さんのことだ。  何を言い出してもおかしくない。    私が心の中で身構えていると、『ペンタブ』さんは小さく溜め息を吐いて言った。 「こうなったら、僕も覚悟を決めましょう」  『ペンタブ』さんは一度言葉を切ると、今まで聞いたことがない真摯さを帯びた声で続けた。 「好きです。僕と付き合って下さい」
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!