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待ち合わせの駅改札口を出ると
絵梨花がすでに来ていて
2人で父が待つカフェへと歩く。
「ねえ、どうしよう。
父親に会うっていうのに
嬉しいとも楽しいとも
なんとも思えないんだけど」
絵梨花が苦笑いしながら言った。
「あ、わかる。
これでいいのかってくらい
何にも思えないよね」
感情を動かそうにも
情報が足りなすぎる。
私と絵梨花には
父に関して
思い出がほとんどないのだ。
父は
私が物心ついた頃からあまり家にいなかった。
たまに帰って来ると
幼い私は
父を見て
知らないおじさんが家に入ってきたと泣いたらしい。
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