第2章 広沢すみれ

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「うん、そうさせてもらおうかな」  よかった。笑顔で頷いてくれた。 「きっとフラン……も喜ぶはず」  フランケンと言いそうになって、どにかとどまる。「フラン(ケン)」なんて、未来の俺はどんなネーミングセンスなんだよ。  すみれがパッと顔を輝かせる。 「もう名前がついてるの? フランちゃんってかわいい名前ね」  すみれちゃんのほうが100倍かわいいぜ。  すみれと一緒にひとつの傘に収まり肩を並べて自宅に向かう俺は、たぶん傍から見ればデレデレに鼻を下を伸ばしていたに違いない。 「ここで待ってて。連れてくるから」  玄関の鍵を開け、すみれをその場に待たせて階段を上がった。  その途中でふと嫌な予感がよぎる。    本当にフランケンなんて名前の未来から来た黒柴がいるのか?  夢だったって可能性もあるよな?  もういなくなってたりして……。  自分の部屋の前に立ち、小さく深呼吸してからゆっくりとドアを開ける。  フランケンはまだそこにいた。  雲間から差し込む西日に照らされて、黒い背中がツヤツヤ輝いている。    しかし、半目&白目のブサイクな顔で死んでいた――。  
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