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「うん、そうさせてもらおうかな」
よかった。笑顔で頷いてくれた。
「きっとフラン……も喜ぶはず」
フランケンと言いそうになって、どにかとどまる。「フラン犬」なんて、未来の俺はどんなネーミングセンスなんだよ。
すみれがパッと顔を輝かせる。
「もう名前がついてるの? フランちゃんってかわいい名前ね」
すみれちゃんのほうが100倍かわいいぜ。
すみれと一緒にひとつの傘に収まり肩を並べて自宅に向かう俺は、たぶん傍から見ればデレデレに鼻を下を伸ばしていたに違いない。
「ここで待ってて。連れてくるから」
玄関の鍵を開け、すみれをその場に待たせて階段を上がった。
その途中でふと嫌な予感がよぎる。
本当にフランケンなんて名前の未来から来た黒柴がいるのか?
夢だったって可能性もあるよな?
もういなくなってたりして……。
自分の部屋の前に立ち、小さく深呼吸してからゆっくりとドアを開ける。
フランケンはまだそこにいた。
雲間から差し込む西日に照らされて、黒い背中がツヤツヤ輝いている。
しかし、半目&白目のブサイクな顔で死んでいた――。
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