63人が本棚に入れています
本棚に追加
「オイッ!」
ピクリとも動かないフランケンにギョッとして、思わず大きな声が出る。
鞄をベッドに放り投げ慌てて抱き上げると、またフランケンの体からウィーンと機械が起動するような音が聞こえてきた。
フランケンの目が黒に戻る。
「カズキ、おかえり」
おかえり、じゃねえし!
「いま死んでたよな?」
声をひそめて、黒目をのぞきこむ。
「スリープモードのこと?」
フランケンの言葉で一気に脱力した。
なるほど、家には誰もいなかったわけだし、消費電力を抑えるために動いていなかったってことか。にしてもスリープモードの顔がヤバすぎねえか?
「なんだよもう、ビックリさせんなよ」
「だってあたし、死なないって言ったでしょ」
ここでハッと、下に待たせているすみれの存在を思い出した。
死んでた・死なない問題など、どうだっていい。
「いま、すみれちゃんが来ているんだ」
「え!」
フランケンがピクっと体を震わせる。AIでも驚くことがあるんだろうか。
丸まった尻尾がせわしなく左右に揺れている。
「カズキやるじゃない! すみれちゃんを家に連れ込んで手籠めにするのね!」
人聞きの悪いことを言うな!
最初のコメントを投稿しよう!