第2章 広沢すみれ

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「オイッ!」  ピクリとも動かないフランケンにギョッとして、思わず大きな声が出る。  鞄をベッドに放り投げ慌てて抱き上げると、またフランケンの体からウィーンと機械が起動するような音が聞こえてきた。  フランケンの目が黒に戻る。 「カズキ、おかえり」  おかえり、じゃねえし! 「いま死んでたよな?」  声をひそめて、黒目をのぞきこむ。 「スリープモードのこと?」  フランケンの言葉で一気に脱力した。  なるほど、家には誰もいなかったわけだし、消費電力を抑えるために動いていなかったってことか。にしてもスリープモードの顔がヤバすぎねえか?   「なんだよもう、ビックリさせんなよ」 「だってあたし、死なないって言ったでしょ」  ここでハッと、下に待たせているすみれの存在を思い出した。  死んでた・死なない問題など、どうだっていい。 「いま、すみれちゃんが来ているんだ」 「え!」  フランケンがピクっと体を震わせる。AIでも驚くことがあるんだろうか。  丸まった尻尾がせわしなく左右に揺れている。 「カズキやるじゃない! すみれちゃんを家に連れ込んで手籠めにするのね!」  人聞きの悪いことを言うな!
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