第2章 広沢すみれ

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「とにかく、いまからすみれちゃんに会ってもらうから」 「うん!」  張り切っている様子のフランケンを抱えて部屋を出る。 「俺の明るい未来のために協力してくれるんだろ? 頑張れ」  すみれは玄関の上がり(かまち)にちょこんと座って待っていた。 「やだぁ、かわいいっ!」  満面の笑みで両手を広げる。こっちにおいでポーズだ。  俺がその胸に飛び込みたいぐらいだ……その邪な妄想を振り払いながらフランケンを差し出した。 「すごいね。重さも手触りもハアハア息してる感じも、本物のワンちゃんそっくりだね!」  すみれがクスクス笑いながらフランケンの額をなでる。 「でも体の中から機械の音がするから、耳当ててみ」  俺に促され、すみれはフランケンの両脇を持つと、白い毛の生えたお腹に耳を当てた。  しばらくじっと聞いていたすみれが、フランケンを膝に下ろす。 「たしかにいろいろ聞こえるけど、なにかの装置を埋め込まれた本物の犬っていう可能性は?」  なるほど、そういう考え方もあるかもしれない。ただしそれは、しゃべらなければの話だ。 「しゃべっていいぞ」 「すみれちゃん、こんにちは!」  すみれが目を丸くする。 「すごい! フランちゃん、こんにちは。あなたはAIロボットなの?」 「そうだよ。だから、あたし死なないんだよ。なんなら……」  どうしてすぐ死んでみせようとするんだよっ! 「やめろ」  思わず低い声が出た。
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