第3章 未来の朝比奈家

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 夕飯と風呂を終えて一息ついたところで、ようやくフランケンにあれこれ確認する時間ができた。 「そもそも未来から来たっていうのはどうやって? 俺がおまえの名付け親だってことは何十年後かにはもうタイムマシンが完成してるのか?」 「あたしはカズキの4世代未来から来たんだよ。時空転送装置で来たの。でもいろんな問題があって人間はその装置は使えないのよ」  4世代後ってことは、子供・孫・ひ孫・玄孫の時代か。ってことは120~150年後ぐらいには技術的にタイムトラベルが可能になっているってことなんだな。  人間の転送が禁止されているのは、本人同士が鉢合わせたり歴史が大きく改変されたりすることを避けるためか? 「おまえどんだけ長生きなんだよ」 「だから言ってるでしょ、死なないって! アップデートと学習を繰り返しながら朝比奈家のAIペットを続けてるの」   「俺は引きこもりだったんだろ。結婚して子供がいたのか?」 「いるわけないじゃん。ずっと引きこもりだったんだから!」  なにっ!? 生涯ヒキニートだったってことか。  てことは……。 「兄ちゃんの子孫か」 「そうだよ!」  俺には6つ年上の兄・隆志(たかし)がいる。  いまはもう社会人で一人暮らしをしているから、一緒に暮らしてはいない。  待て、よくわからなくなってきた。 「兄ちゃんの子孫が俺の運命を変える手助けをしてくれてるってことか?」  なんのために? 「朝比奈家はどこから落ちぶれたのかを検証する家族会議をしたの。その結果、カズキのせいだってことになったの!」  いやいや、待て待て。それはいわゆる「欠席裁判」ってやつだろ。  玄孫の代で貧乏なことを俺のせいにされたって知るか!  しかも、そもそも俺ん()は会社を経営しているわけでもないし旧華族とかでもない、ごく普通の中流サラリーマン家庭だ。 「ちなみにそれ、誰が俺の名前を出したんだ?」 「もちろん、あたし!」  おまえのせいかよっ!
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