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「でも実際、大変だったんだよ」
フランケンは俺の未来の詳細を語りはじめる。
兄の隆志はいまから4年後に結婚し、会社の社宅で暮らし始める。しかし父と母が順番に死んでいってこの家に俺ひとりになると、何もできない、何もやらない俺を見かねて同居する。
兄の家族たちはそのせいで居心地の悪い思いをすることになった。そんな家族と俺との板挟みで心労が絶えなかったせいか、兄は平均寿命を待たずに亡くなったという。
俺はというと、なんとヒキニートのまま100歳まで生きたんだとか。
どんだけ健康だったんだよ。働けよ!
「なあ、俺は兄ちゃんの家族に面倒みてもらって申し訳ないとか、どうにかしようとか思わなかったのか?」
あまりにも厚かましすぎるだろ。
「『申し訳ない気持ちはあるけど、どうにもならん』って、清々しいほど開き直ってたわ!」
フランケンの遠慮のない言葉が胸に刺さる。
それが本当なら、たしかに俺が諸悪の根源のように言われるのも納得かもしれない。
俺が今日、交通事故に遭わなかったことで運命が少し変わったはずだ。
ん? 待てよ?
「フランケンがいる未来では、俺はヒキニートのまま100歳で死ぬんだろ? いまの俺がもしもこれから先ちゃんと学校に通って大学も出て就職して、まったく違う人生を送ったら未来はどうなるんだ?」
もしもフランケンがいますぐ未来に戻ったら、朝比奈家がいきなり金持ちになっていたりするんだろうか。
「未来はね、ひとつじゃないんだよ。同じ状況で違う選択肢を選ぶことだってあるんだから何パターンも存在しているの。17歳のカズキが車に轢かれなければ、朝比奈家の子孫がハッピーになるパターンが増えるだろうって予想に基づいて来たんだよ」
なるほどな。
それで俺の運命を変えようとフランケンがやって来たってことはわかった。
「でもさ、それって朝比奈家だけの話じゃないだろ。俺に関わった全員の未来が変わるんじゃないのか?」
俺が未来を変えたことで先々への影響がどんどん大きくなるわけで、中にはそのせいで逆に不幸になる人だっているかもしれない。
「そうだね! でもあたしは朝比奈家のペットだから、そこまで知らないわ!」
なんて身勝手なんだ。いっそ清々しいな、オイ。
もうひとつ引っかかっていることがある。
「動物型のロボットが未来からやって来て少年の人生を変えるって話、まるっきり国民的猫型ロボットアニメと一緒じゃね?」
フランケンが首を傾げる。
そうか、フランケンには通じないか……と思ったのだが。
「あたしのお腹には、便利道具を出せるポケットはついてないよ?」
知ってんじゃねーか!
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