第3章 未来の朝比奈家

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 いろんなことがよくわからないままだが、俺が交通事故を回避できたことは間違いない。  これで俺の、ひいては未来の朝比奈家の没落もある程度改善されるだろう。  じゃあもうフランケンは用済みかというと、そうでもない。  せっかくすみれちゃんとの仲が進展しそうなのだ、ここでフランケンを手放すのは得策ではない。 「なあ、フランケンにもうしばらくこっちにいてもらってもいいか?」  おずおずと聞いてみる。  どうして?って聞かれたらどう答えようかと脳みそをフル回転させかけたところで、フランケンの明るい声が響く。 「いいよ!」    ナイス、フランケン! 助かるぜ!  浮かれた俺は、スマートフォンの画面を開く。  メッセージアプリのクラスのグループトークからすみれの名前をタップして、個別のメンションを送ることにした。 『土曜日もし暇だったら、すみれちゃんちのクロとフランを会わせてみない?』  クロとは、すみれが飼っている黒柴のことだ。  そう、奇しくもフランケンはすみれの愛犬と同じ犬種なのだ。  ほどなくして犬のスタンプが返ってきた。吹き出しに『OK!』と書いてある。  よっしゃ!  俺はこぶしを握り締めて感動に打ち震えた。  すみれちゃんと犬の散歩デートだ!  彼女に告白しようとしている不届き者を牽制しまくってやるからな!  いや、待て。  そういえば、まだそいつの名前を聞いていなかった。 「なあフランケン、すみれちゃんと恋人になる予定だった男って誰だ?」 「同じクラスの清水君だよ」  なんだとぉぉっ!?  清水っていったら、あの瓶底メガネで陰キャのあいつか?  あいつが高嶺の花のすみれちゃんに告白してOKされたって、そんなことあんのか? すみれちゃんて、ああいうのが趣味……? いや、もしかするとあのメガネを外したらイケメンなのかも……。  なぜかとてもショックで、デートをOKしてもらえた喜びが急にしぼんでいく。  そのままベッドに倒れ込むと、いつの間にか寝ていた。  翌朝、目を覚ますとベッドの横にフランケンが倒れていた。  ブサイクな白目で死んで……いや、スリープモードのフランケンを跨いで着替え、学校へと向かったのだった。
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