第4章 清水康太

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 てっきり今日もブサイクな顔で死にながら俺を待っていると思っていたのに、フランケンが活動的だ。どうした。  2階の自室で着替えてリビングに行くと、キッチンで母さんが張り切って料理を作っていた。  テーブルにはすでに何品か大皿に盛られたおかずが並んでいる。鶏の唐揚げに天ぷらがいろいろ……。  なんだ、なんだ、今日はパーティーか!? 「あら、一樹。ちょうどよかったわ。ちょっと手伝って!」  目の前に鍋が差し出される。  受け取って中を見れば、ホカホカ湯気を立てるじゃがいもが入っている。  これをどうしろと? 「ポテトサラダにしたいの。手順はフランケンちゃんに聞いて!」  母さんは殺気立ちながら揚げ物を作り続けている。あれこれ聞ける雰囲気ではない。  足元にいるフランケンに視線を落とすと、さっそく手順を説明してくれた。 「まず、テーブルの鍋敷きにその鍋を置いて」  言われた通りにする。 「次に、キッチンペーパーの上にじゃがいもをひとつのせて」  キッチンペーパー? どこにあるんだ? 「吊り戸棚にぶら下がってるやつだよ」  キョロキョロしていたらフランケンが教えてくれた。あのロール状の白い紙が「キッチンペーパー」という名称であることを初めて知った俺だ。 「キッチンペーパーで包むようにして親指をずらしながら皮を剥く」 「熱っ!」  茹でたてのじゃがいもが熱すぎて、ごろんとテーブルに落としてしまう。 「我慢、我慢。熱いほうが剥きやすいから早く!」 「えー……」  つーか、なんで俺こんなことやらされてんの? 「文句言わない!」 「はいはい」 「『はい』は1回でいい!」 「はい」  急にスパルタだな、オイ。
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