第4章 清水康太

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 ひとまずフランケンを2階に置いてから風呂だ。  これ以上1階に長居させては、なにを言い出すかわからない。 「将来の兄ちゃんの奥さんに、いい印象持ってもらえたかな」  呟きながらフランケンを抱えて階段を上がる。 「ちがうよ!」  ちがうって、なにが? 「あの人、タカシの奥さんになる人じゃないよ!」 「てめえ、それを先に言えよ」  無駄に愛想振りまいて損したじゃねーか!  殺されたいようだなと言いそうになって、思いとどまる。  それを言ってしまったら、また例の「あたし、死なないもん!」が始まるからだ。  部屋の床にフランケンを下ろすと、フランケンがじっとこちらを見つめている。 「言うなとか言えとか、カズキの指示が正反対だよ?」 「そこは、空気を読んでだなあ……」  言ってからしまったと気付いたが、もう遅い。    フランケンの目が点滅し始める。 「空気を読むという能力は、特定の状況下で相手の非言語的なサインやニュアンスを汲み取り、それに応じた言動をとることを指します。AIは一般的にこのような社会的スキルを持つことはありません」 「デスヨネー。じゃ、風呂入ってくるから」  適当に返事をして部屋を出た。  
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