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「え! 朝比奈君が作ったの!? すごいね。いただきます」
俺が握ったと言ったら嫌がられるかなと一瞬不安がよぎったが、すみれはためらうことなく海老天のおむすびにパクっとかじりつく。
萌え袖の両手で持って食べる様子が、どうしようもなくかわいい。
「おいしい」
笑って食べてくれたことにホッとしながら、俺も天むすにかぶりついた。
足元ではクロがおとなしく伏せをしている。フランケンは、俺の膝の上だ。
「フルーツもあるんだ。よかったらどうぞ」
タッパーを取り出して、俺とすみれの間に置く。
「ふふっ、朝比奈君、お母さんみたい」
くそうっ、料理男子じゃなくてオカン扱いされた!
すみれがフランケンの頭を撫でる。
「フランちゃんの毛は、なんの素材でできているの?」
フランケンが俺を見上げる。
周りに誰もいないのを確認して話してもいいと許可すると、フランケンは得意げにすみれにあれこれ説明しはじめた。
すみれは時折、目を真ん丸にして
「え、その技術って、もう実用化されてるの?」
と、専門的な話をフランケンと交わしている。
すみれには、フランケンが未来からやってきたという突拍子もない事実は話していない。
未来の科学技術の話についていけるすみれはすごい。内容が高度過ぎて意味がわからない俺は、とりあえず天むすを食べ続けた。
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