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そのまま、なんとなく重たい空気に包まれながら公園の入り口まで歩いた。明るい話題で盛り上げようとしたものの、すみれの反応がイマイチだ。
公園を出たらもう、じゃあねと言ってお別れだろうか。
どうにかしないと!と焦りまくって、咄嗟に出た言葉がこれだった。
「すみれちゃん! 好きです。俺と付き合ってください!」
「え……」
ああああっ! なんてことだ!
あと何回かデートを重ねて、もっと仲良くなってからって思っていたのに、失敗した!
いきなりの告白に驚いているすみれに、いまの無し!と言おうとしたが、先にすみれのほうが口を開いた。
「ごめんなさい」
――――!
俺、フラれたのか。フラれたんだよな……。
足の力が抜けて、その場にうずくまりたくなる。
「朝比奈君、ごめんね。上手く言えないんだけど……えっと……」
すみれを戸惑わせてしまったらしい。
別に理由なんて言ってくれなくていい。いや、むしろ聞きたくない。
「いいよ、俺のほうこそいきなりごめん。月曜からはまた普通に友達として接してくれたらありがたい」
どうにかそれだけ言った。
笑ったつもりでいたけど、上手く笑えていなかったと思う。
すみれはまだなにか言いたそうな顔をしていたが、それを飲み込むように小さく頷いた。
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