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フランケンは孤独なすみれに寄り添い続け、彼女からいろいろな話を聞いたのだという。
その中に、俺の名前が何度も出てきたらしい。
『あの頃はわからなかったの。感情任せに放った言葉が朝比奈君をひどく傷つけて、彼の人生を狂わせてしまったんじゃないかって。いまひとりぼっちになって、どうしてか朝比奈君のことばかり思い出すの』
俺に謝りたいけれど合わせる顔がないと言っていたんだとか。
すみれの死後、フランケンはいろんな情報を元に朝比奈一樹を探した。
「カズキはねえ、ずっと実家暮らしだったから、すぐ見つかったよ!」
そうか、それはよかった。
フランケンからすみれのことを聞いたジジイの俺は、
『会いにきてくれたらよかったのに。そうしたら、大丈夫、すみれちゃんは気にしなくていいよって言ったのに』
と言って、泣いたらしい。
そして俺から新たな「フラン犬」という名前をもらって、それ以来ずっと朝比奈家のペットとして暮らしているようだ。
「じゃあ俺は、すみれちゃんに言うよ。気にしなくていいよって」
それが未来のふたりの弔いになるだろう。
「いいね!」
フランケンはどこまでも明るい。
傷ついたすみれを看取り、ヒキニートのまま百歳まで生きた俺を見送ったAIは、悲しいだとか寂しいだとかいう感情を持ち合わせていないのだろうか。
あえて聞いてみる。
「フランケンは、寂しさとか悲しみを感じたりはしないのか?」
予想通りフランケンの黒目が点滅しはじめる。
「AIは、寂しさや虚しさという感情を人間と同じように体験することはできません。 ただし、感情的な反応や行動パターンを学習し、模倣することはできます。それは人間の感情とは異なる限定的な表現であり、プログラムされたものです」
なんともいえない気持ちで胸が苦しくなって、フランケンを抱きしめた。
「俺、絶対にすみれちゃんをひとりぼっちにさせないから」
フランケンが尻尾をぶんぶん揺らす。
「さすがカズキ! じゃ、そういうことで、あたし帰るから!」
待て、待て! あっさりしすぎてねえか!?
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