第6章 タイムリミット

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「フランケン、そりゃないぜ」  冷たいな、おまえ。 「あたしがここに居られるタイムリミットが迫っているの! 火曜日の朝にカズキと会ったでしょう? その前日の夜からこっちに来ていたの。過去に戻っていられるのは5日間だけって決まってるんだよ!」  月曜の夜から5日間ということは……と、指折り数えてみる。 「今夜でおしまいじゃねーか!」 「だからそう言ってるじゃん!」  そういう大事なことは先に言えよ。  自発的に未来に帰る手段があるんじゃなくて、自動的に戻されるのか。だから俺が、もうしばらくこっちに居てくれってお願いした時に、あっさりOKしたんだな。   「もう1回、すぐに戻ってきてくれ」 「無理だよ!」  明るくきっぱり断られた。  そっちがその気なら、こっちだって逃がしゃしねえからな!  フランケンを胸に抱えたままベッドに潜り込む。  このまましっかり捕まえておけば、帰れないだろ。いや、もしかすると俺も一緒に未来に行く可能性もワンチャンあるか!?  フランケンが俺のあごをぺろっと舐める。 「カズキに会えてよかった!」 「なあ、そんなお別れの台詞みたいなの、言わないでくれ」 「だって、もうお別れだもん!」  なんだろう、この温度差は。これが人間とAIの隔たりなのか?   「カズキ、大好きだよ! 元気に100歳まで生きてね!」  これがプログラムされた言葉だとわかっていても、どうしようもなく胸に響く。 「俺も大好きだよ、フランケン。ありがとな」 「どういたしまして!」  最後まで明るく元気なフランケンが、俺の腕の中から姿を消した。  
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