アイドルフリーズ

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 アイドル生活を辞めて半年。  私は出版社で事務として働いていた。  まだ覚えきれない仕事に苦戦しながらも、久しぶりにメンバーと会う日を控えて毎日ワクワクした気持ちで過ごしている。  「 あいみ、痩せた? 」  「 アイドル時代より過酷かも、今 」  待ちに待ったその日は、いつもなら誰よりも先に来ているはずのくるみの姿が無かった。  「 珍しい。くるみ遅刻なのかな? 」  そのうち来るだろうと待っていたが、結局最後までくるみが来ることはなく、終電の時間を迎えてしまう。  名残惜しさを感じながらも、同じ方面だったさなと共に電車に乗る。  「 ねえ、あいみ。清水さんって覚えてる? 」  「 あの清水さん?もちろん覚えてるけど 」  酔っ払いが大半を占めてる車両の中、真剣な面持ちをしたさなが、久しぶりに聞く名前を口にした。  「 探してるらしいよ、あいみのこと。くるみのSNSが見つかって、コンタクトとって来たらしい。何か結構やばいって言うか、狂気を感じる内容ばかり送って来たらしくてさ、くるみ怖くなってブロックしたんだって。でも、どこで調べたのか最寄駅で待ち伏せられて、凄い形相で追いかけて来たから、必死になって逃げたって言ってた 」  「 え…何それ。くるみ、大丈夫だったの? 」  伏せた目で震えながら話すさなは、くるみが今日来なかったのは、来れなかったんじゃないかと言った。そして、  「 くるみとは連絡ついてない。それにね、あいみ…今度は、私のSNSが見つかっちゃった 」  どうしようと泣くさなに、震えが止まらなくなる。とにかく、明日2人でくるみの無事を確かめに行って、警察に事情を話して保護してもらおうと言うことになり、一駅先のさなと別れた。  ファンとしては良い人だった。  とても感謝してるし、今でも頭のどこかで何してるんだろうかって考える人。  そんな清水さんが、人が変わったかのような行動を取っていることに恐怖しか感じない。  夜道は暗く、私は怖くなりタクシーを捕まえて家まで帰った。
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